葬儀メッセージ

あるときの葬儀メッセージ

今日ここにお集まりの皆さんにとって親しみを覚えておられたAさんが、その生涯を閉じられました。満50歳という若さでした。あまりにも早すぎる死といっていいでしょう。それだけに本人もそしてここにお集まりの皆さんも、無念というか悔しいというか深い嘆きを覚えていらっしゃると思います。

わたしたちは人生において、様々な経験をいたします。良いことも悪いことも、辛いことも悲しいこともあります。それが人生です。若いときは力が漲っています。希望があります。楽しいことが多い。しかし歳を重ね、衰えていきます。わたしもAさんとは同世代でして、50を過ぎた頃からでしょうか、漠然とですが、人生のゴールということを意識するようになってきました。

でもそれは、同時に死を意識することでもありますから、楽しいことではありません。むしろ不安であり、時に恐怖を感じることでもあります。なぜなら、死の先に何が待っているか。わたしたちにはわからないからです。そして、家族や親しい者たちとの関係を断ち切られてしまうからです。悲しいかなわたしたちは、例外なく死を迎えなくてはなりません。

ある日突然、自分でさえ気がつかないうちに一瞬にして命が奪い去られるならいいでしょう。長野県の標語である、ピンピンコロリと死ねたら最高です。しかし、難病であるとか重い病を宣告されたとか、死がヒタヒタと迫ってくる様な状況を迎えたとするならば、それは、相当に辛い心境に立たされるのではないでしょうか。

まさにAさんは、この若さで、それを徹底的に味わったのです。昨年の9月に癌の宣告を受け、余命1年という残酷な報せの中で、その苦しみはいかに凄かったのか。その辛さは同様の体験をした者でなければわからないことです。ほんとうに辛かったのだろうなと思います。ほんとうに恐かったのだろうなと思います。本当に悔しかったのだろうなと思います。

夫やこどもたちを残して逝くことも無念であったでしょう。悔しかったでしょう。わたしはAさんに何の慰めの言葉も掛けてあげられなかったことを悔やみます。何の力にもなってあげられませんでした。

でも今、Aさんは、そっとこの場にいるような気がします。何の根拠もありませんがそんな気がします。天国へと行く前に皆さんにお別れをするために、この場にいるような気がします。ですから、わたしは皆さんだけではなくAさんにも伝えたいのです。大丈夫だよ。何の心配もいらないんだよ。これから天国での新しい人生が始まるのだからと。

先ほど読みました聖書の言葉に、どんなものであっても、わたしたちを神の愛から引き離すことはできないとありました。これは見て確かめた言葉ではありません。信じるという信仰の言葉です。わたしはこの言葉を信じたいのです。皆さんにも信じて欲しいのです。

わたしたちの人生は、この世に命を与えられたはじまりと命を奪われる終わり。このはじまりと終わりの間にあるものです。間であるわたしたちの人生は、先ほど申し上げたように、幸不幸の繰り返しであり、様々なことがあります。多くの他者に支えられつつ、自らの意思や力で人生を切り拓くことができます。でも、誕生と死、これだけは自分ではどうすることもできません。

自分の力や意思で生まれてきた人はただの一人もおりません。また、自死であってもその後をコントロールすることもできないのです。わたしたちのはじまりと終わりは、わたしたちがどう逆立ちしても参与できないものです。何が言いたいかというと、わたしたちに命を与え、命を奪う何ものかがいるということではないでしょうか。

それを宇宙ということもできるかも知れません。自然という人もいるでしょう。グレート・サムシングという呼び方をする人たちもいます。わたしたちは神と呼んでいます。でも、呼び方は何でも良いのです。要は、わたしたちに命を与え、今生の人生での役割が終わったら、呼び戻す何かがわたしたちに関わっているということです。その意味でわたしたちは永遠に孤独ではない。死というものは、単なる通過点にしか過ぎない。わたしはそう信じたいのです。

Aさんの人生は終わりました。あまりにも短い人生でした。しかし、実は終わりではありません。わたしたちには想像できないけれど、イメージできないけれど、これから新たにはじまるのです。わたしたちより先に、それをはじめたに過ぎないのです。きっと、わたしたちが来るのを待っていてくれるはずです。

だから皆さんには、悲しいけれども、辛いけれども、必ずまたAさんと会える。どういう形かはわからないけれど、必ず会える。その希望と期待を持ってもらいたいのです。

どうか残された皆さんが、残された人生をそれぞれ精一杯生きてください。そして、天国でAさんと再会したとき、その人生の報告をしてください。また会えた喜びを分かち合ってください。ですから今日は、ほんとうは、Aさんとのお別れの日ではありません。天国での再会を約束する日なのです。希望に満ちた日なのです。



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by buku1054 | 2014-11-23 18:27 | その他 | Comments(0)
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